猫の額

初心者の猫と庭いじり。日々のこと。

はみだしっこが大人になる時2

「はみだしっこ」については、語るとちょっとやそっとでは済まない。小学生の時から知っているが、本当に読んだのは高校生の時で、その年齢でも非常に難解だった。なんでこんなに感じやすくて、物事を斜めからしか見ないのだろうと思った(特にグレアム!)。でもとにかくはまった。理解したかった。そして今ならずいぶん理解できると感じている。

三原順が本当に描きたかったのはクークーの話だったと聞いたことがある。「カッコウの鳴く森」とその後のクークー&サーニンの話は非常に感動的な話だと思う。なにより最後に、人は理解しあえるかもしれないという、希望を与えてくれた。クークーが森に向かって駆け出し、そしてサーニンがそれを受け止めようと決心するラストは、つらいけど希望があったと、今になって思う。

一番難しかったグレアムも、全てを自分の手でどうにかするのではなく、人に頼ることをして、初めて大人に近づけたのではないかと思う。「自立することはできないけど、孤立することはできる」と言っていたグレアムが、人に頼ることで逆に自立への一歩を踏み出したのではないかと。そして、4人とも火を囲んで生き延びたのではないか。いまいち頼りにならないけど、一緒に歩こうとしてくれる大人たちと一緒に。
どうしようもなく暗い話だけど、「大人になること」「生きて行くこと」を否定せず、真剣に考えた話だったのではないかと思う。