猫の額

初心者の猫と庭いじり。日々のこと。

求む、同好の士

自分が好きなことを人と分かち合ったことがあまりない。そもそも分かち合える人が身近に姉以外いなかった。
 私は正直言って、いわゆるオタクだ。特撮好きの兄、特撮・漫画・アニメ好きの姉、とくれば、必然的に私もその洗礼を受けた。中学生の時、委員会で帰りが遅くなり、ガンダムの再放送に間に合わないと、必死になって走って家に帰った。ボトムズにはまり、カセットテープに放送を録音し、何度も聞いた。はみだしっこのドラマアルバム、ミンキーモモアニメ三銃士のアラミス様。大学生くらいでサムライトルーパー、この時は初の声優ライブにも行ったっけ。コミケにも何度か行ってるし、おとなしめだけど、コスプレもした。諸星大二郎ウルトラQウルトラセブン・・・
 ここらへんまでは、主に姉と一緒に好きなものを共有していることが多かった。そしてそれ以外には特に漫画・アニメ好きの友人がいることはなかった。
 それはなぜかというと、私がアニメや漫画が好きなことを知る人がほとんどいなかったから。知られていても、「変わったものが好きなのね。」とスルーされるくらいで、特にそれについて語ることもなかった。なにより私が周りに、好きだということを言っていなかった。宮崎勉の事件などがあってオタクへの世間の風当たりはまだ強かったし、周囲を気にしないオタク的なノリもあまり好きではなかった。そういう人は結構多いとは思うが、世間になるべく正体が知られないよう隠していたのだ。
やはり一番良かったのは、高校時代くらいでもっと積極的に自分が好きなことを開示できていることだったのだとは思うが、私の周りの漫画・アニメ好きはいまいちみんなから受け入れられているタイプではなかったので、その人たちと仲良くするのもちょっと嫌だった。

 そうして隠すことが習慣になって、とうとう人生の中で「私はこれが好き」と言える相手を作ることがほとんどできなかった。これはやっぱり不幸なことだろうか?
 そう、この歳になって、やっぱり好きなことを語り合いたいと思うことが多い。高校時代、たぶん唯一特撮の話をした男の子は、「変わり者」だと思っていたが、その後「好き」を貫いて、同好の士を多く見つけ趣味を謳歌している。会社で唯一漫画等の話をする人も、なぜか同じような趣味の人を見つけるのが上手だし。やはり「こういうことが好きだ!」とうまく開示できる人はそれなりに同じ趣味の人を見つけているのだ。
 今もう少し若かったら、ツイッターとかでフォロワー同士で語り合って、イベント行ったりオフ会とかに顔を出したり、語る相手を作ることができたかもしれない。もうこの歳でそういうことをしようとは思えなかったが、やはり頑張ってネットを駆使して、探すべきなのだろうか・・・五十路になってこんなことで悩むなんて、我ながら情けない気もするが、そろそろ本当にチャンスがなくなるかも、と思うとちょっと焦りも感じているのだ。